揺れる柚子
帰宅すると、玄関先に大家さんからのお裾分けの花柚が…。
「庭で採れた花柚です。お風呂にでもどうぞ。もちろん食べられます」と一文そえてあった。
湯船に浮かべたらさぞ温まりそうだが、既にこの出来事で温まった気がする。
柚子と言えば、近頃のムスコとの散歩道。
至るところで柑橘類を目にする。
ドーンと大っきな黄色から、可愛らしく小ぶりな黄色まで、冬の透明な陽射しの中、爽やかに枝先で揺れている。
なぜかしら…。
ムスコはその黄色で笑う。
僕が手を伸ばし、その実を指先でツンツンすると、コロコロと。
枝を揺らしてユラユラすると、ケラケラと。とにかく、笑う。
大っきな柚子などつついたならば、身をよじらせてキャーキャー言って笑ってる。
なぜかしら…。
冬の黄色は、赤ん坊を虜にさせる(うちの子だけかな)。
とにかく、家に帰り着く頃には、僕の指先はかなり爽やかに香ってる。